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ビジネス暗黙知の可視化、共有化ツール  2022.6.29                          

         

   最近特に、実に素朴な疑問が年々増してきました。「企業が持続的に好業績を刻み発展していくカラクリって、ないんだろうか」と。ここで念頭に置いたのは、主に米国・欧州の産業系・医療ライフサイエンス系の世界的大手リーディング企業群、さらに、ITシステム・プラットフォーマー系の各リーディング企業(いわゆるGAFAM系)、これらの各中堅、新興企業群です。産業系はコロナ禍の2020年度こそ落ち込みましたが、21年のリバウンドは、前年分をリカバリーして余りあります。医療・ライフサイエンス系を支える専門機器系、そして勿論GAFAM系はその落ち込みもない。個々の企業展開策として、特に、その外部企業とのオープン展開に関わる部分で、何か、企業の競争力向上、成長発展力アップに向けて共通する点があるのではないか。それこそが、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を、企業による製品サービス提供側から追いかけている理由です。

元々のイノベーション展開と、そのDX型

 企業において、製品サービス開発の目的は、顧客価値を追求し突き詰めることで競争力を増すことです。その場合、まずは、以下2つのアプローチが一般的です。

a. 固有の優れた技術や性能アップ

b. 顧客ニーズ密着型サービスの提供による差別化

 大きく見て、a.が単体機器・ハードウェア系の提供領域であり、b.がそのまま各種のサービス提供領域が典型的です。各々、イノベーション展開の典型的なモデルです。

​ 一方で、そもそもITとか、DX化領域では、上記に加えて、デジタル的な顧客価値の積み上げ型で汎用性や拡張性も追及する側面が大きくなり、むしろこちらが主体になります。単体機器をネットにつないで(オンライン化)、そこで生まれる各種データを生成集積させた上で、効果的に解析し、AI(人工知能)も活用して、顧客の現場ニーズ・課題解決型サービス(ソリューション)を提供する。さらには、この顧客が法人であれば、この顧客企業自身のソリューション展開力を高めてやるようなプロダクツの提供。そんな形での汎用性や拡張性のある展開です。

  そして、そこでの価値形成の糧になって行くのがデータであり、データ(正確には解析データ)が価値の流れを担っています。かつ、このような形での顧客向け価値形成こそが、製品サービスの競争力形成になっています。なお、全くネットにつながっていない単体機器のみ、逆に、元々の対顧客完結型のサービス提供の世界では、データ処理を介在させる必要性もなく、上記の、a.またはb.で完結しますし、現にそういう領域は、まだまだ普通であり、市場も大きいのも確かです。

IDインデクス

​ そして、このデジタル型の方のイノベーション展開において、もし、そんな顧客向けの価値形成具合、つまりその意味合いや度合いを可視化できれば、実に便利かつ決定的に有効です。まず、自社現状の製品サービスについての自己診断です。その上で、世の中の技術、事業コンセプトトレンドや有力企業による実展開(そこにある価値形成具合)などとの継続的な比較分析、精緻な差分整理で、自社の現状を客観視し、これらを通じて、自社にとっての次の一手開発、事業展開に向けた具体的な取り組みテーマ割り出しを行う。​

​ さらに、その差分、違いを何らかの形で製品サービス、事業展開全体に反映させていくために、オープンなイノベーション展開を図る際にも上記の可視化は有効です。相手方候補ごとに自社との親和性を確認するためです。シナジー形成モデルの骨格をいくつも、迅速に描けます。お互いの事業の拡張性、発展性を飛躍させられます。IDインデクス(ID: Innovation Drivers)は、そんな意味での可視化ツールです。再度言いますと、企業が提供する製品サービスの、デジタル視点での顧客価値積み上がり型及びその度合い、その意味でのDX化達成度を示す指標群、として弊社で整備したものです。

双方向での製品サービスの高度化

 例えば戦略的な企業投資は投資後のフォローが要ですが、そのためには、事前のシナジーモデル形成、その投資相手先企業との早い段階からの共有が不可欠です。以下は、そんなモデル査定に向けた、ハードウェア機器メーカー系企業、そしてITベンダー・製品設計等の専門、さらに一般サービス系企業における製品サービスのDX的高度化の典型モデルの整理です。なお、最近はこれら項目の各々段階・局面で、AIによるさらに高度なデータ処理が、北米・欧州そして日本でも登場し急増しています。なお、Aの項目群は、Bの特にITソフトウェア・システム開発企業群にとってのDX型開発提案・コンサルティングテーマの切り口項目ともなって行きます。

A. ハードウェア機器メーカー系企業の場合

 その製品サービスのDX化を念頭に、ハードウェア機器起点で整理すると、以下のようになります。

・ネット接続、デジタル化を促す

・エッジ対応を充実させる

・プラットフォーム型の開発やオペレーション、サービス提供を図る

・データ処理・解析機能を付加してスマート化を図る

・ソリューションシステムを具備させ、同サービス提供まで実現させる

・ソリューションソフトウェアによる手離れいい展開まで行う 

・これら全般に亘って、各々本格的なAI版へ移行させ、できればその自社開発も目指す

  なお、ここでのハードウェア機器を建造物、その周辺施設・インフラなどに置き換えることも可能です。そうすると、上記の項目群、その流れは、スマートシティー形成領域に当てはまります。

 

B. IT開発・製品設計等の専門サービス、その他広くサービス提供系企業の場合

​ 他方、このような概念整理は、ソフトウェア・ITシステム開発、各種製造・設計受託サービスほかの顧客密着型専門サービス、その他医療、小売り、物流、公共交通ほか広くサービス提供系の企業一般の場合でも、形を変えながら有効です。それは丁度、上記A項目を下から辿って行って、それまでの提供サービスに、以下のようなデジタル顧客価値を付加していく過程とみなせます。

・データ処理を噛ませてソリューション提供化する

・そこにデータ処理解析によるさらなる高度化・付加価値化も図る

・プラットフォーム化してサービス提供の拡張性、機動性を増す

・エッジ段階、機器センサー段階までも取り込んで、一気通貫のIoTプラットフォーム型まで固める

・同様に、・これら全般に亘って、各々本格的なAI版へ移行させ、できればその自社開発も目指す

つまり、ハードウェア機器等側と対で鳥瞰すれば、双方向型になります。

ビジネス暗黙知の共有化、明確化・精緻化、そして体系化促進

 一般的に、このようなDX化項目の可視化ツールの機能は、これらの、ある意味でのビジネス暗黙知の共有化を促すことです。さらに、ツール側から、開発者やエンドユーザー側が漠然とイメージしていることを明確化する、精緻化し、体系的、網羅的に整理するという機能も発揮してきます。

 このような整理概念は、こちらから先駆けて(Proactive)行っていくことに意味があります。少し事業分野が違っても、このような頭の整理をした上で開発連携や戦略投資に臨めば、後のフォロー、連携事業の深堀はより自然体で進められ、いわゆる「飛び地」「不連続」と思われる領域への展開にも、より説得性ある指針がみえてきます。逆に、自社にとって意味の薄い不連続性、「新規事業」の追及を選別する羅針盤にもなり得ます。実は、ここが大きい。さらに、デジタル化、DX化が遅れている、先行事例が少ない領域に対して、先行している周辺領域事例を援用する、そのためのナビゲート役にも使えます。

 シリコンバレー企業がよく言うのは、海外企業(欧州企業、日本企業・・)からの訪問を受けたはいいが、何を一緒にしたいのか、下心さえつかめない場合が多いと。その場合に限って、その訪問後のフォローもなく、あの会見は何だったのかとなる。それを繰り返すと、訪問アポが入らなくなっていきます。脱炭素や先進医療の、ミッションの共通性があればまだしも、それも限界があります。特に訪問する企業側は、自分たちの強み、すごさの強調以上に、何に取り組んでいて、「この点は自信があるがこの部分が足りない。御社の技術・コンセプトに期待する部分はそこだ」、まずは、その程度の事前想定用のシナリオでいいわけです。

​ IDインデクスで事前チェックできるのは、相手の強み技術、製品プロダクツが現状、どんなDX化モデル(デジタル視点での顧客価値積み上げ型)であって、それが補完、強化してくれそうな当方側の現状製品サービス、そしてまた将来領域はここだ、というシナジーモデル、それも複数モデルの骨格です。ロジカルに、そして必要に応じて網羅的に割り出していけます。

​ 最後に一言。いわゆるGAFAM(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft) 辺りの成長モデルは、コンシュマー、つまり世界の個々人向けビジネスが基本で、今回述べたようなコーポレート系分野とは、成長モデルが違うのではと長らく思ってましたが、今回またご案内した可視化ツールで各社の製品サービス展開内容を確認すると、驚くほど、冒頭の産業系等の好業績企業と共通した面があります。そうは言え、これらGAFAM系企業も、企業の成り立ち、方向性、法人領域へのスタンスはすべて違いますから、まとめてこうだと言い切るのは無理があり、各々についての精緻なアップデート分析は欠かせません。

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