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DX化の常道 2022.7.20                      氏家 豊                                                                                                     

 製品サービス・事業領域の拡充企画作業に絡んで、オーソドックスな手法として4象限分析があります。縦軸はプロダクツ開発の新規性・革新性です。今であれば「デジタルトランスフォーメーション(DX)」で言い表わされる、より先進的なデジタルツール・ソリューションの開発導入度合い軸です。ここでは「既存」と「先進」とします。一方横軸は、事業開拓における拡張軸です。つまり現状のコア顧客・市場」と「拡張領域の顧客・市場」。ただ業態によって、若干様相を異にします。機器システムメーカーの場合であれば元々の軸足事業セクター向け展開を他の事業領域に広げていく。例えば本業・祖業が産業(インダストリー)向け企業が、その技術・事業展開を他の医療分野、さらにスマートシティー分野へ広げていく。他方、ITベンダーの場合の横軸は、「汎用展開」と「事業アプリケーション展開」と括った方がしっくりします。元々やってきた「バックオフィス・業務一般向け展開」の「他の各種事業における現場向け応用展開」と押さえれば本質は同じです。兎も角、英語で言う縦軸Vertical(垂直)、横軸Horizontal (水平)展開です。

 

 ところで、エンドユーザー企業の業務効率・生産性の向上を促すために今でも活躍しているソフトウェア・システムとして、例えば、ERPやCRM、SCMがあります。これらも、そのプロバイダー視点では、デジタル視点から顧客価値を積み上げた賜物であり、DX化定義に完全に当てはまります。ただ、世に出てから20年強は経っていて、概念そして市場は成熟しています。その意味で「既存のDX型」とします。一方、IoTやその産業向けIIoT、それをけん引するプラットフォーム、その法人向け、コンシュマー市場向けの進化、AI、その先進領域への本格投入、量子コンピューティングなどは、確かにより「先進型」という位置付けになりましょう。

 

DX化の常道?

 DX化に関わるプロダクツ開発、事業全体の新陳代謝、業態シフトも含む大胆な革新、異次元展開まで見据えた概念整理をすると下記マップのとおりです。左隅下(A)が現状ポジションです。現在のコア顧客・市場に対して、デジタル化していない非DX型、そして上記した既存DX型のプロダクツを提供しています(そういう設定)。その事業セクター横展開・アプリケーション展開がBです。そして、これらの各々先進領域・レベルがCでありDです。では、より先進的なデジタルツール、ソリューション展開は、このマップ上で、どんなルートで推し進められるか。DX化の常道とも言えるルートであり、DX化開発・展開の手順です。え、そんなのあるの? 

 

事業ポートフォリオの4象限整理マップ

           (プロダクツ

             開発軸↑)               

                 先進 C: 先進DX型            D: 先進DX型の拡張市場展開

 

                 既存   A: 非・既存DX型   B: 非既存DX型の横展開                                         

                          現状のコア顧客・市場  拡張領域の顧客・市場     (顧客市場開拓軸→)        

 結論を言えば、動きの速い最近の先進DX化ツール・ソリューション展開領域では、「Aから、Bに行かないで、まずはCをしっかり固めて、その勢いでDにも進出する」という動きが主流です。先進DX型領域では、IT技術、システムや事業モデルが従来型と大きく違ってきますので、何某かの自社開発コアを持とうとすれば、汎用領域のCを自社に引き付けて固めるのが先決です。そのためのスピード勝負にもなり、この部分はその分野を押さえている新興企業のM&Aがもっぱらになります。そして、D展開を含めて、より上記マップの上半分領域でのプロダクツ展開比率を兎も角高めることを優先します。これも、いつも取り上げる好業績基調の世界的なリーディング企業群(主に産業系・医療ライフサイエンス系の機器・サービス会社、IT大手・プラットフォーマ系など)の最新動向です。


 世の中の汎用レベルでのDX的進展が特に新興企業で急過ぎて、社内的にはCやD領域として取り組んでいた内容が、他社比で依然としてAやBに留まっているリスクが急拡大してきます。そこで兎も角、先進先端領域(AI、IoT、プラットフォーム、汎用ソリューション)の新興企業取り込みを優先する。その動きを急ぎ確実にするための戦略投資。CVCそして出来ればM&A、願わくは顧客市場もある程度抱えてくれている企業のM&Aです。これがその象徴的な展開です。買い方のブランド勝負という面は否定できませんが、それだけでは勿論なく、相手新興企業と自社とのシナジー形成モデルの事前構築が大切です。ただです、自社内リソースでまず出来るDX化は事業知見と顧客もみえるAそしてB領域であるのも確かです・・・まずそっちを言うべきで・・・そこが工夫のしどころです。 

 GAFAMに絞れば、Apple以外は、プロダクツ内容、収益コア領域が、いわゆるハードウェア機器をベースにしていないために、事業コンセプト主導で、比較的自在にC、D領域に事業コアを置ける関係にあります。この点では、同じシリコンバレー企業でも、そうなっていない有力老舗企業も混在していて、先進的DX型モデルへの移行途上です。これらに加えて、欧州系のハードウェア大手・中堅企業、IT系企業も加わって、日本企業としても、より自社の立ち位置に引き付けた成長発展モデル検討が出来ましょう。

 BとDの見極めの問題もあります。一つ、先述した市場成熟性(つまり売り上げの伸びが緩慢、成熟化)というのは、現実的な視点です。合わせてもう一つは、顧客ニーズに即した「アプリケーション」レベルはBで、顧客の現場課題解決に大きく踏み込み、さらに最近では、顧客側の競争力形成に直接資する「ソリューション」レベルはDという括りです。その意味では、厳密には先ほどのERPやCRM、そして特にSCMについては、中身によって依然として最先端領域内容もあり、BでもあるがDでもあるという面があります

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