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「プロダクツ開発向けのDX化」が決め手 2021.1.17          氏家 豊 

 

   引き続き製造業系企業を中心に、そのDX化を考えます。そこでの目的には、大きく「プロダクツ開発向け」と、「生産性向上向け」があります。そして、これまで本コラムで述べてきたDX化は前者にフォーカスしてきました。それは、売上を着実に伸ばしている世界の大手リーディング企業群の展開事例で、このプロダクツ開発向けのみが目立っているという現状を踏まえています。それら企業の投資先企業の技術・プロダクツ内容は、しっかり実展開プロダクツに反映されていて、基本に忠実というか、確かにオープン投資をエンジンにして、IoT、AI、プラットフォームなどを絡めたDX的展開を推し進めているようにみえます。しかも、それら大手好業績企業同士で驚くほど傾向が似通っていて、それは、お互いに開発に関わる投資動向を細かく分析し合っているかと思えるレベルです。一方、同じ大手リーディング企業群でも、依然として自前開発、自己完結的なハードウェアに大きく重心持つ企業群もあって、業績不振傾向にあります。このコントラストが、驚くほど明確になっています。

 一方、日本国内でも、DX展開事例が増えてきましたが、それらは、基本的に社内業務改革・生産性の向上向けです。低成長下でも利益を出せる体質・体力作りであり、それ自体は重要なことですが、業績面で横ばい圏の企業が多い現状に鑑みると、あまりにもプロダクツ開発向けのDX化事例が少ない点は気になるところです。以下、この点を改めて検証します。

 最近、下記のJEITA調査内容に接しました。確かに、日本企業は生産性の向上向け、米国企業はプロダクツ開発向けです。また、最後の一行、「米国は顧客と接点がある分野でのDXが目立った」という点は、本コラムの「DX化インデクス」のコア部分です。つまり、好業績企業プロダクツのDVC型にみる共通項は、同じく「DXのデータ価値連鎖的な意味」にある「Ⅳ」(最終顧客ポジション)を含んでいることです。

<電子情報技術産業協会(JEITA)アンケート>:2020.10.20

DXを推進する目的 (該当すると思われること3項目挙げる形で)

 日本企業 「業務オペレーションの改善や変革」・・・41%

      「既存ビジネスモデルの変革」・・・28.4%

 米国企業 「新規事業・自社の取り組みの外販」・・・46.4%

      「新製品やサービスの開発・提供」・・・34.9%

       なお、米国は顧客と接点がある分野でのDXが目立った。   

 

 日本企業にプロダクツ開発向けのDX化事例が少ないのには、国内企業、特に産業系企業のITとの付き合い方に関する歴史的背景が伺えます。つまり、傾向は以下の2つです。

1. 日本のその産業系企業は、そのハードウェア開発製造という強みを磨く過程で、「IT、情報システム開発は外注するもの」という日本独特の意識、産業構成が出来て行き、また、大企業でIT専属部門を作った場合でも、本体とは別組織、子会社にする場合が一般的で、その傾向は今も続いています。さらに、そのIT部門・子会社が担う開発内容も、管理系基幹システムが基本で、プロダクツ開発領域に及ぶことは、社内的には依然として壁が高い場合が多い。

 

2. 他方、外部IT業者側も、普段の顧客企業向けの開発案件は、伝統的に、管理系システム、業務プロセスのIT化・システムインテグレーション領域が基本で、プロダクツ開発系との接点はない。当然、プロダクツ開発系の相談・受注もない。そのような業務管理系の開発受注ビジネスに馴染み、リスクを伴う独自開発、プロアクティブ開発にも慎重。結果的に、IT業者側から一般企業へのプロダクツ開発領域へのDX的提案も生まれにくい、そのようなビジネス形態は想定にない構造が根付いてきた。

 

 では、どうしたらいいか。対策は以下の3つです。

1. オープン開発向けの橋渡し人材育成、確保

  いくらオープンイノベーションと言ったところで、外部からは分からない開発事情、出せない情報領域は厳然としてあり、他方で、特に機器メーカー系にとっては、社内人材でカバーしたくとも先端過ぎるIoT、AI、プラットフォーム等領域は、確かに外部部隊と組む方が効果的でしょう。そこで必要になるのが、そのような先端的なDX開発の自社向けのポイントを押さえた上で、外部部隊が、顧客側の深い知見にタッチすることがなく連携できるよう、企業側から業者に落とし込める人材の育成です。そのためには、自社(グループ内)で、社内管理部門、開発部門等、IT部門でキャリアローテーションを敷くのは有効でしょう。

 

2. 社内システム向けIT部門とプロダクツ開発部門の一体化。子会社化の解消

  すでに、IT部門を別動隊(会社)として抱えている大手系企業の場合、そのIT会社は、早急に本体企業と統合させ、かつ、従来からの社内(グループ内)管理系システムに留まらず、プロダクツ開発領域に展開させるべきです。「子会社」側にいるとモチベーションにも欠け、ビジネス交渉で割を食うのも確かです。世界的に有名な企業の例として、Predixが不振に終わったGEと、Mindsphere、その後継で好調中のSiemensの成否の違いは、IT/デジタル部門を本体に内蔵している(Siemens)か、別動隊子会社にしてしまったか(GE)に、一つ大きな背景を感じます。兎も角、企業規模に関わらず、社内システム向けIT部門とプロダクツ開発部門の一体化、一体的な連携は、DX時代では必須条件になっています。

 

3. プロダクツ開発チームと外部ITベンダーとの接点強化

  ITベンダー側でも、これまでの継続的な受託開発・フルカスタマイズド業務を超えて、顧客側のプロダクツ開発領域におけるプロアクティブな提案力、さらに自身でのそのような開発姿勢も要になりましょう。JEITAアンケートにあった、米国企業にみる「新規事業・自社の取り組みの外販」、そのためのプラットフォーム形成などにプロアクティブに対応していくITベンダー、という姿がみえてきます。そして、このうねりを促すための手軽な出発点は、各種セミナー後にネットワーキングタイムを確保して、製造業等のプロダクツ開発部門(上記の橋渡し的人材)と外部ITベンダーとの接点を太くすることが手始めと考えます。

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