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データ価値連鎖フェーズの精緻化     2020.5.1                                         氏家 豊                      

 改めて、前回コラムにあげたデータ価値連鎖(以下、DVC)の4フェーズについて、基本的な相互連関性に注視しながら、一歩踏み込んで整理します。

 まず、「単体機器・装置等のハードウェア、システム(以下、単に「単体機器」)がⅠです。一般的にIoTの話で「センサー」「データ収集」のフェーズと言われますが、ここでは概念を少し広げた、いわゆるStand-Alone機器。それ自体は、まだネット(ITインフラ)につながっていない、素材、部材、機器・装置領域です。さらに、それを顧客向けに作りこんである製品、言わばユーザー直結型の単体機器があります。これら単体機器そしてユーザー直結型の単体機器は、主に技術力そして顧客との密着度で競争力を形成するハードウェア機器領域そのものです。

 他方、顧客密着型でのサービス提供はⅣフェーズで展開されます。IT領域で言えばSIer(システム・インテグレーター)が典型で、顧客の現状を極力受け止めて、代行を含むカスタマイズ型の展開です。特定顧客との深い関係による展開で、その意味では根強い強みを持ちます。特に法人間の事業モデルは、元々、概ねこれら2つ、つまりユーザー直結型含む単体ハードウェア機器の製造販売か、顧客密着型でのサービス提供、のどちらかです。

 そして、プロダクツの高度化では、これらⅠとⅣの間に、Ⅱ(データの集積処理・管理、通信インフラ、エッジインフラ等)、そしてⅢ(AI含むデータの汎用、専門解析ソフトウェア・ツール)のフェーズを加えたものです。つまりそれは、ⅠにⅡ、そしてⅢを加味してⅣに向けて、顧客価値を積み上げていきます。ハードウェア製品におけるDX化の定義そのものです。

 他方、「ソリューション」は、一般的には「顧客課題の解決」という言葉で言い現わされますが、ここではDVCに即してもう一歩厳密に定義付けします。つまり、「顧客(Ⅳフェーズ)の課題を、特にⅢ(データ解析・AI)を駆使して解決する」段階です。現在のDX化の一つに中核部分です。一般的に、機器系メーカーによる顧客への納入過程では、この部分はその機器系製品の「導入サービス」として位置付けられる場合がありますが、目下の世界をリードするDX先進企業では、上記段階は明確に「ソリューション」提供と位置付けています。具体的には、最終顧客側の様々な業務における、データ解析・一部AIを駆使した現状監視、制御、最適化、自動化、そして予知的対応などを支え、そこでの競争力形成に資する展開を指します。提供するハードウェアに内在させ、またはそこから切り離してサービスとしても展開されます。なお、この「現状監視、制御・・・」という表現は、あまりに産業系っぽい、狭い概念言葉にも見えますが、これが意外に、一般のオフィスシーンや小売り、公共施設、そして医療ほか、産業・生活の広い領域に当てはまります。

 このソリューションは、上記のとおり、最近のAI技術も含むデータ解析力(Ⅲ)によって支えられます。かつ、このⅢは、単なるデータ解析・AIの基礎・汎用技術のみではかなり使い物になりません。顧客・現場(Ⅳ)の知見を備えた内容である必要があります。それが、現場向けのデータ応用解析力(ソフトウェア)です。なお、実際のプロダクツ展開では、これらⅠからⅣまでのDVCがお互いに融合・連携して、少しでも最終顧客のニーズに直接答え、かつ相手側の競争力をも促すもの(こと)にしていくか、そんなレベルでの開発競争がなされています。

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